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更新日:2025/12/15

【運営全体を自動化】PMS とスマートロック連携で変わる民泊運営(スマートロックの基礎知識 ④)

Written byマーケティングチーム

民泊運営における鍵まわりの効率化は、スマートロックの普及によって大きく進みました。
一方で、スマートロックだけを導入しても、ホストやスタッフの負担は思ったほど減らないケースもあります。
予約や清掃手配、チェックアウト管理がそれぞれ別々に動いている場合です。

スマートロックがPMS(予約管理システム)と連携していない場合、結局はホストが手動でPINコードを送ることになります。
PMS連携は、「PINコードの送り忘れ」や「別のゲストに誤送信してしまう」といった人的エラーのリスクを減らすことにつながります。
予約確定から清掃手配までの流れをシームレスにつなぐための仕組みです。

本記事では、PMSとスマートロックを組み合わせることで何が変わるのかを、

  • ヒューマンエラー削減
  • 運営フローの可視化と自動化
  • 導入判断の基準・代替案

という観点からわかりやすく整理します。

※ 本記事は一般的な運営課題の整理を目的としており、特定の製品や運営方法を保証・推奨するものではありません。

PMS 連携が「ヒューマンエラー」をなくす

PMS の基本

PMS(Property Management System)とは、宿泊施設の運営情報を一元管理するためのシステムです。
予約・在庫・料金・清掃スケジュールなどをまとめて管理することができます。
また、AirbnbBooking.comといった複数の予約サイトからの情報を統合できるものもあります。

民泊においては、

  • いつ
  • どのプラットフォーム経由で
  • 誰が泊まるのか

といった情報の「ハブ」となる存在であり、運営の中枢ともいえる仕組みです。

スマートロックとPMSの連携

PMSとスマートロックを連携すると、予約情報をもとに自動でアクセス権(PINコードやアクセスリンクなど)を発行・失効できるようになります。

これにより、ホストが手作業で鍵コードを発行・送信する必要がなくなり、

  • PINコードを送るのを忘れてしまった
  • 別のゲストに誤って送信してしまった
  • チェックアウト後もコードが有効なままだった

といったヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。

連携方式には、

  • PMSとスマートロックがAPIで直接つながるパターン
  • 連携のための中間ツールを経由するパターン

などがあり、運営規模やすでに使っているシステムによって適した方法が変わります。

PMS 連携で実現する運営フロー

PMSとスマートロックを連携すると、予約からチェックアウトまでの一連の流れがひとつの仕組みとして動くようになります。
ここでは、フェーズごとに変化を見ていきます。

チェックイン前:鍵情報の自動発行・通知

予約が確定すると、PMSの情報にもとづいてスマートロックに自動でアクセス権が登録されます。
ゲストにはメールやメッセージでPINコードやアクセスリンクが自動送信されます。

これにより、

  • 深夜到着のゲスト
  • 多言語対応が必要なゲスト
  • 直前予約のゲスト

といった人手では対応しづらいケースでも、安定した非対面チェックインを提供しやすくなります。
ホストは「いつどのゲストにコードを送るか」を気にする必要がなくなります。
そのため、他の業務やゲスト体験向上に時間を使えるようになります。

滞在中:ゲスト対応と状況把握の効率化

PMS上で「チェックイン済み」「未チェックイン」を確認できる仕組みを備えたシステムもあります。
ゲストが予定どおり到着したか、まだチェックインしていないのかを把握が可能です。
そのため、連絡や現地確認の手間を減らせます。

トラブルが発生した際も、

  • 鍵そのものが反応していないのか
  • コードの入力ミスがあったのか

といった原因を、履歴から素早く切り分けることが可能になります。
それにより、ゲストへの説明や再発防止策を検討しやすくなります。

チェックアウト後:清掃・次予約へのスムーズな引き継ぎ

ゲストの滞在が終了すると、PMSのチェックアウト情報をもとにアクセス権が自動で無効化されます。
同時に、清掃スタッフ用のコードを自動発行しておけば、

  • 退去
  • 清掃
  • 次のチェックイン準備

までの流れを、ひとつの運営フローとして自動化できます。

この仕組みが整うと、

  • 清掃依頼の連絡漏れ
  • 「鍵がなくて清掃に入れない」といったトラブル
  • チーム間の情報共有ミス

を防ぎやすくなり、ホストが離れた場所にいても運営を安心して任せることができるようになります。

PMS 連携 3 つのメリット

PMS 連携は、単に便利になるだけでなく、コスト削減や売上機会の損失防止にも効果があります。

1. 人的コストとミスの削減

予約確定から鍵発行までの作業を自動化することで、

  • コードの送り忘れ
  • 誤送信
  • 有効期限の設定ミス

といったヒューマンエラーを大幅に減らせます。
メッセージ作成・送信にかかっていた時間も削減され、運営にかかる人的コストを抑えられます。
また、オペレーションの安定化にもつながります。

2. 情報の一元管理

PMSにスマートロックを連携すると、

  • 予約状況
  • 鍵の操作履歴
  • 清掃の進捗

といった情報を一画面で確認できるようになります。
複数の物件を運営している場合でも、全体の動きを俯瞰しやすくなります。
担当者同士の情報共有もスムーズになります。

結果として、

  • ダブルブッキングの防止
  • 清掃漏れの防止
  • 現地確認の回数削減

などにより、運営品質の底上げとコスト削減の両方に寄与します。

3. ゲスト体験の安定化とレビュー向上

PMS連携によるチェックイン案内やアクセスコード送信の自動化は、ゲスト側から見ると必要な情報が、必要なタイミングで届く体験につながります。

  • 到着時にすぐ入室できる
  • ホストとのやり取りが最小限で済む
  • 案内がわかりやすく、迷わない

といった点は、レビュー評価や再予約率にも影響します。
鍵トラブルによる低評価レビューを減らすことは、長期的な収益(LTV)の向上にもつながる重要な投資といえます。

失敗しないための検討基準

PMS連携は便利な一方で、すべての民泊運営にとって「今すぐ必須」というわけではありません。
コストも伴うため、導入前にいくつかのポイントを確認しておく必要があります。

対応スマートロックと連携方法の選択肢

すべてのスマートロックがPMSと連携できるわけではありません。
検討の際は、

  • 利用中のPMSがどのスマートロックと連携できるか
  • そのスマートロック側がどのPMSと連携しているか

を、公式サイトやサポート情報で確認しておくことが重要です。

もし現在使用中のPMSやスマートロックが直接連携に対応していない場合は、

  • ZapierやIFTTTなどの簡易連携ツール
  • スプレッドシートやWebhookを介した中間連携

といった代替的な自動化の方法も検討できます。

PMS側の料金・サポート体制と費用対効果

PMSによっては、スマートロック連携が有料オプションとして提供されているケースもあります。
その場合は、

  • オプション費用
  • 連携によって削減できる作業時間や人件費
  • 減らせるヒューマンエラーのリスク

を比較し、費用対効果の観点で導入可否を判断することが大切です。

また、

  • 障害時のサポート窓口や対応時間
  • アップデートの頻度
  • 仕様変更時のフォロー

なども、長期運用を考えるうえで確認しておきたいポイントです。
連携オプションの料金を、どれだけ運営負担を減らせるかという投資対効果で判断するのがおすすめです。
第 5 回で扱う費用対効果の視点もご参照ください。

小規模運営(1〜2棟)の場合の代替案

物件数が少なく、「いきなりフル機能のPMSを入れるのはハードルが高い」と感じる場合があります。
その場合、部分的な自動化から始めることができます。

例えば、

  • 予約サイトからの通知メールをトリガーに、スプレッドシートへ自動記録
  • その情報をもとに、簡易連携ツールでスマートロックのPINコードを自動生成・送信

といった形で、PMSなしでも一部の工程を自動化することが可能です。

まずはこうした簡易連携で運用に慣れることからはじめましょう。
そして、物件数や業務量が増えてきた段階で本格的なPMS連携へ移行する、というステップも有効です。

まとめ:鍵と予約を「つなげる」ことで、人がやるべき仕事に集中できる

スマートロック単体の導入は、現地の鍵受け渡しを効率化するための第一歩です。
そこにPMS連携を加えることで、予約・チェックイン・清掃・再販といった一連の流れを情報でつなぐことが可能です。
人に依存しすぎない運営体制をつくることができます。

テクノロジーの目的は、人を完全に置き換えることではなく、

  • 人の判断が必要な仕事(クレーム対応、レビュー返信、体験価値の向上など)に集中できるようにすること
  • チーム全体の運営品質を安定させること

にあります。

鍵と予約を「つなげる」仕組みを整えながら、人がやるべき仕事に時間を使える運営体制をつくること。
それが、これからの民泊運営に求められる次のステップと言えるでしょう。

次回(第5回)は、スマートロック導入による費用対効果とコスト回収について紹介します。

マーケティングチーム

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マーケティングチーム

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