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現場から設計してきたスマートロック|LINKEYの開発と運用の考え方
LINKEYは、最先端の機能や派手なスペックを前面に打ち出してきた製品ではありません。
それでも、宿泊施設や民泊といった運用の現場で、「安心して使い続けられるロック」として選ばれてきました。
スマートロックは、実際に使われる段階になると、スペック表や機能一覧だけでは見えにくいポイントが重要になってきます。
本シリーズ「LINKEY 開発と運用の記録」では、LINKEYの開発を長年担当してきた前田への取材をもとに、現場で実際に起きてきた出来事と、そこからどのような判断が積み重ねられてきたのかを整理します。
第1回では、設計図や仕様書だけでは見えなかった「現場の現実」から話を始めます。
※本記事は、LINKEYの開発を担当してきた前田への取材をもとに、当時の判断や考え方を整理したものです。
記載している内容は、すべての環境での動作や導入を保証するものではありません。
この記事でわかること
- 図面や仕様書だけでは見えない、過酷な屋外・半屋外環境での「現場の現実」
- 錆や部品劣化といったトラブルを製造工程の改善へつなげた経緯
- 施工やサポートをあえて内製化し、現場の声を直接開発に返す理由
現場を知るところから、開発は始まった
前田は、LINKEYのプロダクト設計や仕様だけでなく、施工やサポート、トラブル対応といった運用の現場にも関わってきました。
設計図や管理画面の中だけでなく、実際に設置され、使われ、問い合わせが発生したらそれが解決するところまで。
「現場で何が起きているか」を前提に判断してきたことが、現在のLINKEYの形につながっています。
現場に出て初めて具体化した課題──スマートロック運用の現実
設計や仕様の段階で想定していた条件と、実際の現場環境との間には、少しずつズレがありました。
設置環境による錆や部品劣化の問題
図面上は問題なくても、実際に足を運ぶと、潮風が直接当たっていたり、結露が常態化していたりします。
こうした条件は、机上ではなかなか把握できません。
通信の不安定さ
実際の現場では、壁の材質・間取り・周囲の電波環境によって挙動が変わります。
電波は目に見えないため原因特定が難しく、同じ解決策が別の現場で通用しないケースも多いのです。
「100回に1回、いや1000回に1回であっても、通信の失敗はできる限り避けたい。使っている方のことを思うと、やはり通信の安定性には常に気を遣います」
こうした問題の一つひとつは致命的でなくても、積み重なると運用トラブルやクレームにつながります。
※通信方式そのものの詳しい話は、続編の第2回で掘り下げる予定です。
スマートロックの「つながらない」にどう向き合ってきたか|LINKEYの技術選定と安定性への考え方
トラブル対応を「次の判断」につなげていった|錆・結露と向き合った開発の工夫
現場で起きた問題に対して、LINKEYでは一時的な例外として終わらせるのではなく、「次にどうするか」を考える材料として扱ってきました。
- なぜ起きたのか
- どの条件で再発しやすいのか
- 構造や運用のどこに影響しているのか
製造工場の変更、コーティングの強化、塩水試験も含めた検査工程の改善など、表からは見えにくい部分にも時間と労力が割かれてきました。
「『飛び出た針金をきちんと切ってはんだ付けで留める』といった細かい部分までしっかりやってくれる工場を選びました」
派手な改善ではありません。 ただ、同じトラブルが起きにくくなる方向へ、一つずつ判断を積み重ねてきました。
結果として、現在のLINKEYは長期運用を前提とした品質水準を確保できるようになっています。
あえて内製を続ける理由|施工・サポートから開発へつなぐ循環
LINKEYでは、施工やテクニカルサポートをできる限り自社で担っています。
効率だけを考えれば、外部に任せたほうが合理的な場面もあります。
それでも内製を続けてきたのは、 現場で起きていることを自分たちの目で確認し、次の判断に素早くつなげるためです。
「何かあったら、設置状況や通信環境を視察しに行き、ああでもないこうでもないと話し合う。この距離の近さは当社の強みかなと思います」
問い合わせやトラブルの内容には、単なる使い方の問題ではなく、設計や運用を見直すヒントが含まれています。
それをそのまま開発や改善に返せる。
この循環が、LINKEYの運用安定性を支えています。
「トラブルが起きない」状態を価値として捉える|宿泊施設・民泊運用で本当に求められる安定性
宿泊施設や民泊において、スマートロックは前面に出る存在ではありません。
ゲストが問題なく入室できること。 運営者が余計な対応に追われないこと。
そうした何も起きない状態こそが、現場では大きな価値になります。
数値としては見えにくいものの、運用が止まらないことは、確実に現場を支えています。
現場を見続けてきたからこその判断|最新機能よりも「確実な動作」
前田が判断の基準にしてきたのは、導入時に問題なく動くかどうかではありません。
数か月、数年と使われるなかで、運営者の手を煩わせずに回り続けるか。
どんな機能を持つかよりも、現場の運用に無理が出ないかどうか。
その一点を見て、判断が積み重ねられてきました。
運用を起点に考えるということ|失敗と改善を繰り返しながらの開発
LINKEYは、完成された理想像から逆算して作られた製品ではありません。
現場で起きたことを受け止め、判断し、修正し、また現場を見る。
この繰り返しによって、「安心して使える」という評価が積み重なってきました。
では、こうした判断は、どのような設計思想や技術選定に支えられてきたのでしょうか。
次の記事では、通信やシステム構成といった技術面から、その背景を整理します。
本記事で紹介した考え方や設計思想をもとにした製品については、下記の製品紹介ページで確認できます。
