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更新日:2025/12/16

【2025年最新】民泊とは?民泊新法・旅館業法・特区民泊の違いと選び方の基礎ガイド(シリーズ「民泊の始め方」①)

Written byマーケティングチーム

「民泊」と聞くと、「空き家を活用した宿泊サービス」や「Airbnbで旅行者を受け入れる副業」といったイメージを持たれる方も多いでしょう。

実際、日本では訪日観光客の増加や空き家問題を背景に、民泊への関心が高まっています。

一方で、いざ始めようとすると

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)
  • 旅館業法(簡易宿所など)
  • 特区民泊

といった複数の制度があり、「どれが自分に合っているのか分からない」という声も少なくありません。

この記事では、民泊の基本的な仕組みと主な3つの制度の違い、そして開業前に押さえておきたいポイントを、初めての方にも分かりやすく整理します。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法令や手続きの正確性を保証するものではありません。制度や手続きは変更される場合があります。本記事は2025年11月時点の一般的情報に基づいており、最新情報は国土交通省・各自治体の公式サイトをご確認ください。

H2-1 民泊とは?法律と運営の基本を整理

「民泊」とは、一般住宅やマンションなどを宿泊施設として活用し、旅行者などに有償で宿泊サービスを提供することを指します。

ホテルや旅館を新たに建てる必要がなく、既存の住居を活かせるのが大きな特徴です。

近年はAirbnbなどの民泊サイトを通じて個人でも運営しやすくなり、

  • 副業として自宅の空き部屋を貸し出す
  • 地方の空き家をリノベーションして貸し出す
  • 既存の宿泊施設を非対面チェックイン中心に切り替える

といった多様な形が広がっています。

民泊が普及した背景

民泊が一般的に知られるきっかけとなったのが、2018年施行の住宅宿泊事業法(いわゆる「民泊新法」)です。

この法律により、個人が自宅や空き家を宿泊施設として貸し出すためのルールが整備され、制度上の位置づけが明確になりました。

  • 訪日観光客の増加
  • 宿泊施設不足
  • 地方創生や空き家活用への期待

といった社会的な動きも後押しとなり、民泊は「新しい宿泊スタイル」として定着しつつあります。

参考:国土交通省「住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/

H2-2 民泊の3つの制度と運営スタイル

日本で民泊を運営する場合、主に次の3つの制度が関わります。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)
  • 旅館業法(簡易宿所営業など)
  • 特区民泊(国家戦略特区法に基づく制度)

それぞれ、営業日数や手続きの負担、向いている運営スタイルが異なります。

① 住宅宿泊事業法(民泊新法)

2018年に施行された法律で、年間180日以内の営業が可能です。

保健所や消防署の確認を経て、自治体に届出を行い、受理された後に運営を始めます。

  • 多くの地域で住居専用地域でも運営可能(ただし自治体条例で制限される場合あり)
  • ホームステイ型(自宅の一部を貸す)や、特定の季節だけ貸し出す運営スタイルなどと相性がよい
  • 個人・副業で民泊を試したい人に選ばれやすい制度

詳細:国土交通省「住宅宿泊事業法施行要領(PDF)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/content/001485703.pdf

② 旅館業法(簡易宿所営業など)

ホテルや旅館と同じく、許可制の制度です。

営業日数の制限はなく、通年での運営が可能な一方、建築基準法・消防法など他の法令もあわせて満たす必要があります。

  • 初期投資や手続きのハードルは上がるが、長期的な事業として位置づけやすい
  • 宿泊業を本格的に行いたい法人・運営代行会社、複数棟を運営する事業者などに向く

参考:厚生労働省「旅館業法及び関連法令」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139435.html

③ 特区民泊制度(国家戦略特区を活用)

「国家戦略特区法」に基づき、一部地域(例:大阪市・東京都大田区など)で導入されている制度です。

  • 各自治体の条例で滞在日数の下限(例:2泊3日以上)などが定められる
  • 条例で定められた区域・条件を満たす住宅地に限り、運営が認められる
  • 観光客の長期滞在や、ビジネス滞在・移住体験の受け皿として活用されるケースもある

参考:内閣府「国家戦略特別区域法(特区民泊)」

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/index.html

H2-3 民泊新法・旅館業法・特区民泊の比較まとめ

3つの制度をざっくり比較すると、次のようなイメージになります。

制度名 営業日数 手続き 向いている人・運営スタイル 主なメリット 主な制約
住宅宿泊事業法 年180日以内 届出制 副業・ホームステイ型・季節限定運営など 比較的始めやすく、住居を活かしやすい 営業日数の上限がある
旅館業法(簡易宿所など) 制限なし 許可制 法人・本格的な宿泊事業者・複数棟運営 通年営業で収益計画を立てやすい 設備要件・初期投資・手続きが重め
特区民泊 地域ごとに異なる 条例に基づく認定 特定地域での長期滞在ニーズに応える運営者 地域特性に合った柔軟な運営がしやすい 対象地域・条件が限定される

どの制度が正解というよりも、物件の位置・運営規模・目指したいスタイルによって適した選択肢が変わります。

H2-4 民泊開業までの6ステップと事前チェック

実際に民泊を始めるまでの流れは、概ね次の6ステップです。

  1. 企画構想:どんな物件・ターゲット・運営スタイルにするかを決める。
  1. 物件確保:賃貸・購入の検討、管理規約や用途地域の確認。
  1. 届出・申請:適用する制度(住宅宿泊事業法/旅館業法/特区民泊)を決め、自治体へ手続き。
  1. 設備準備:Wi-Fi環境、清掃体制、鍵の仕組み(スマートロックなど)を整える。
  1. 集客準備:Airbnbなど民泊サイトへの掲載、写真撮影、説明文の作成。
  1. 運営開始・改善:ゲスト対応、レビュー管理、収支管理などを回しながら改善。

制度や地域によって必要な書類・工程は変わります。

詳細は必ず各自治体の公式サイトや窓口で最新情報を確認しましょう。

H2-5 開業前に押さえたいリスクと注意点

1. 「人」の体制:完全な無人運営は難しい前提で考える

スマートロックなどを活用すれば、チェックインを非対面化することは可能です。

ただし、

  • 鍵トラブル
  • 設備の不具合
  • 近隣からの問い合わせ

など、現地で対応が必要になる場面はどうしても発生します。

  • 清掃業者や管理代行業者との連携
  • 緊急時に現地へ行ける協力者の確保

など、無人運営であっても「人のサポート体制」をあらかじめ考えておくと安心です。

2. 「物件」のルール:管理規約と用途地域の確認

マンションや集合住宅の場合、管理規約で民泊可否が決まっていることが多く、「そもそも民泊が不可」というケースも珍しくありません。

  • 管理会社・管理組合への事前確認
  • 契約書での用途や禁止事項の確認

を行い、書面で履歴を残しておくとトラブル防止につながります。

3. 「法令順守」と近隣配慮:運営中のトラブルを減らす視点

住宅宿泊事業法や旅館業法などでは、

  • 宿泊者名簿の作成・保存
  • 近隣住民への説明や苦情窓口の明示

といった義務や配慮事項が定められています。

制度上のルールだけでなく、

  • ゴミ出しルールの周知
  • 夜間の騒音に関する注意喚起
  • 緊急連絡先の明記

など、日常運営の安定がレビューやリピーター獲得にも直結します。

まとめ:自分の運営スタイルに合う制度選びが第一歩

民泊とは、住宅を活用して人を泊める宿泊ビジネスです。

「住宅宿泊事業法」「旅館業法」「特区民泊」といった制度を理解し、自分の運営スタイル・物件・目標に合う制度を選ぶことが、安定した運営への第一歩になります。

  • 制度の詳細や届出手続き
  • 対象地域や最新の条例

については、国土交通省や各自治体の公式情報を必ず確認しましょう。

次回(シリーズ第2回)では、ここで触れた「民泊開業までの6ステップ」について、準備段階でよくつまずきやすいポイントも交えながら、もう少し具体的に解説していきます。

参考情報(参照元リンク)

国土交通省「住宅宿泊事業法(民泊新法)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/

厚生労働省「旅館業法・衛生管理要領」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139435.html

内閣府「国家戦略特区(特区民泊)」

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/index.html

民泊比較サイト minpaku-market.com(制度比較資料として参照)

https://www.minpaku-market.com/blog/minpaku-license-law-comparison

マーケティングチーム

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