Column お役立ち情報

更新日:2025/12/17

【2025年最新・実務編】民泊を始める6ステップ|開業ロードマップと届出手続きの進め方

Written byマーケティングチーム

民泊を始めてみたいと思っても、「何から動けばいいのか」「手続きはどこにするのか」が分かりづらいものです。
特に民泊は、物件の条件・制度の選択・設備準備・届出など、複数の工程を順番に進める必要があります。
この記事では、民泊開業までの流れを6つのステップに整理し、最初の一歩を踏み出す際に押さえておきたいポイントを紹介します。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法令や手続きの正確性を保証するものではありません。
制度や手続きは変更される場合があります。本記事は2025年11月時点の一般的情報に基づいており、最新情報は国土交通省・各自治体の公式サイトをご確認ください。

※シリーズ「民泊の始め方」第2回です。

民泊開業ロードマップ(6ステップの全体像)

民泊の準備は、次の6つの流れに沿って進めると整理しやすくなります。

  1. 企画構想
  2. 物件選定
  3. 届出準備
  4. 設備準備
  5. 集客準備
  6. 運営開始と改善

それぞれの内容を、順を追って見ていきます。

① 企画構想

最初のステップは「どんな民泊を運営したいか」を決めるところからです。

  • 想定ゲスト(観光、ビジネス、ファミリー、外国人など)
  • 価格帯・稼働の目安
  • 運営スタイル(対面・半無人・無人)
  • 必要な設備・サービス(Wi-Fi、キッチン、ワークスペースなど)

この段階で、鍵の受け渡し方法(物理鍵・キーボックス・スマートロックなど)についても大まかにイメージしておくと、後の設備検討がスムーズです。
特に、非対面や無人運営を中心に考える場合は、どこまでを仕組みで対応し、どこからを人の対応にするかを整理しておくと、全体の設計がしやすくなります。

② 物件選定

次は、民泊を行う物件を選びます。

  • 自宅の一部を使うのか
  • 新しく賃貸物件を契約するのか
  • 中古物件を購入してリノベーションするのか

いずれの場合も、特に注意したいのが 「管理規約・賃貸契約で民泊が認められているか」 という点です。
マンションや賃貸物件では、民泊禁止条項が含まれていることも多いため、契約前に必ず確認しましょう。可能であれば、管理規約や契約書の写しをもらい、書面で条件を把握しておくと安心です。

立地やアクセス、周辺環境(住宅密集地かどうか、観光エリアへのアクセスなど)も稼働に大きく影響します。
「誰に・どのように利用してもらいたいか」という企画段階のイメージと合わせて検討しましょう。

③ 届出準備

民泊の運営には、適切な制度に基づいた「届出」または「許可」が必要です。
制度ごとに手続き先が異なるため、まず自分のケースに合った制度を選びます。

▼ 主な制度

住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)

→ 自治体への届出。年間180日以内の営業。

旅館業法(簡易宿所営業など)

→ 保健所への許可。営業日数制限なし。

特区民泊(国家戦略特区法に基づく制度)

→ 条例に基づく認定。区域・要件は自治体により異なります。

※ いずれの制度でも、建築基準法・消防法などの関連法令を満たす必要があります。
制度ごとに求められる水準や確認手順が異なるため、詳細は自治体の案内をご確認ください。

制度の詳細や届出の流れについては、国土交通省・厚生労働省・内閣府などの公的情報に基づいて確認するのが確実です。

参考:国土交通省「住宅宿泊事業法に基づく届出手続き」

▼ 届出・申請で求められる主な書類(概要)

  • 施設の平面図
  • 設備一覧(消火器・換気設備など)
  • 管理者情報(緊急連絡先を含む)
  • 近隣説明文書(住宅宿泊事業法で必要)
  • 利用権限を示す書類(賃貸借契約書など)
  • 消防関連の書類(消防法令適合通知書など、地域により必要な場合あり)

必要書類は制度・自治体によって異なります。
管轄の自治体窓口で相談し、チェックリストをもらって準備すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。

④ 設備準備(Wi-Fi・鍵・清掃など)

届出と並行して、実際に民泊を運営するための設備を整えていきます。

  • 清掃体制の準備(外注・自分で実施)
  • 鍵運用の選択(物理鍵・キーボックス・スマートロックなど)
  • Wi-Fi環境の整備
  • 消防設備・避難経路表示の確認
  • ベッド・家電・アメニティの準備

鍵運用には大きく分けて、

  • 物理鍵:シンプルだが、受け渡しや紛失リスクへの対応が必要
  • キーボックス:現地に鍵を保管できるが、番号漏えいなどの管理が課題
  • スマートロック:暗証番号やICカードで解錠でき、非対面チェックインと相性が良い

といった選択肢があります。

非対面・遠隔運営を中心にしたい場合は、スマートロックを含めて比較検討すると、チェックイン対応の負担を抑えやすくなります。
一方で、運営規模や予算、現地サポート体制によって最適な方法は異なるため、複数の選択肢を見比べて、自分の運営スタイルに合う形を選ぶことが大切です。

消防や衛生の基準は制度ごとに条件が異なるため、不明点は自治体・消防に確認しつつ、各制度のガイドラインも併せて参照すると抜け漏れを防げます。

⑤ 集客準備(掲載や案内文の作成)

運営準備が整ったら、宿泊プラットフォームへの登録を進めます。

  • Airbnbなどへの掲載
  • 写真撮影
  • 設備・特徴の記載
  • ハウスルール作成
  • チェックイン案内の準備

写真や説明文の質は、予約率やレビューに直結します。
特に、チェックイン方法や鍵の受け渡し手順は、誰が読んでも理解できるよう、具体的かつシンプルに記載しておくと、問い合わせやトラブルを減らしやすくなります。

⑥ 運営開始と改善

届出が受理されれば、いよいよ運営開始です。
ただし、受理後すぐに営業できるとは限らず、地域によっては追加の確認・調整が必要となる場合があります。

運営開始後は、次のような点を意識すると長く続けやすくなります。

  • レビューを定期的に確認し、運営上の改善点を把握
  • 清掃品質や設備の状態を定期的にチェック
  • トラブル時の連絡・対応フローを事前に明文化
  • 料金設定や写真の見直し、説明文のアップデート

鍵や設備のデジタル化(スマートロックやPMSなど)は便利ですが、完全な無人運営を保証するものではありません
通信障害や設備トラブルなど、現地対応が必要になる場面も想定し、代行業者・近隣協力者など現地サポート体制を確保しておくと安心です。

届出・許可の基礎知識と手続きの進め方

ここでは、届出・許可の流れを制度ごとに簡単に整理します。

届出先とおおまかな流れ

住宅宿泊事業法

自治体へ届出
→ 受理(※設備等の条件確認を含む場合があります)
→ 営業開始

旅館業法

保健所へ申請
→ 設備等の確認(※建築・消防基準を満たす必要があります)
→ 許可
→ 営業開始

特区民泊

条例に基づいた認定
→ 認定書交付
→ 営業開始

手続き期間は地域・物件により大きく異なります。
特に初めての場合は、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。

よくあるつまずきと対策のポイント

民泊の準備では、次のようなポイントでつまずきがちです。

物件契約を急ぎすぎる

賃貸契約締結後に「民泊禁止」と分かるケースも少なくありません。
契約前に、以下を確認しておきましょう。

  • 管理規約に民泊・宿泊利用に関する記載があるか
  • 賃貸借契約書の特約で制限されていないか
  • 管理会社・オーナーの意向

口頭確認だけでなく、可能な範囲で書面でも条件を押さえておくと、後のトラブル防止につながります。
内容に不安がある場合は、専門家に相談する選択肢もあります。

設備基準を後回しにする

消防設備や換気基準の不備は、申請後に指摘されることもあります。
届出前に、

  • 図面や写真を持って消防署・自治体に相談する
  • ガイドライン(住宅宿泊事業法・旅館業法など)のチェックリストを確認する

といった準備をしておくと、設備工事のやり直しを減らしやすくなります。

書類・連絡体制の整備が不十分

宿泊者名簿の作成や緊急連絡先の明記など、運営開始後も求められる項目があります。

  • 宿泊者名簿の保管方法(紙・システム・PMSなど)
  • 管理者・清掃業者・対応窓口の連絡体制
  • 緊急時の対応フロー(誰に、どの順番で連絡するか)

これらを事前に文章で整理しておくと、行政指導やレビュー低下を防ぎやすくなります。
名簿管理については、PMSやスマートロック連携サービスを利用して自動化する方法も選択肢の一つです。

開業までのスケジュール例(3か月モデル)

目安として、3か月程度で開業する場合のスケジュール例です。

フェーズ 期間目安 主な作業内容
① 企画構想 1〜2週間 コンセプト・制度選択・物件候補の検討
② 届出準備 約1か月 書類準備・自治体相談・管理者手配
③ 設備工事 2〜3週間 清掃体制・鍵・消防設備・家具家電の整備
④ 申請〜受理 2〜4週間 行政手続き・現地確認
⑤ 公開〜運営開始 直後〜

※ 記載した期間は一般的な例であり、実際の審査期間は地域・物件の条件により大きく前後します。

 

まとめ

民泊を始めるには、
企画物件届出設備集客運営
という6つのステップに沿って準備を進めると、全体像を把握しやすくなります。

特に届出手続きや設備基準は地域によって条件が異なるため、早い段階から自治体窓口に相談し、不明点は公的ガイドラインを参照することが、安心して民泊開業を進めるための近道です。

次回(シリーズ第3回)では、民泊にかかる初期費用とランニングコストについて、項目ごとに整理しながら解説していきます。準備にどの程度の予算を見込むべきか、具体的なイメージをつかむ際の参考にしてみてください。

マーケティングチーム

この記事の著者

マーケティングチーム

このメディアは、
スマートロック「LINKEY」のマーケティングチームが運営しています。

私たちは、
「スマートロックを売る」ことよりも先に、
運営の仕組みや判断の考え方を整理することが大事だと考えています。

現場の声や実例をもとに、
導入するかどうかを決める前の段階でも
安心して判断できる材料を積み重ねていきますので、
気になるテーマがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事はこちらからご覧ください

Top Page