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【民泊運営事例】IONSTAYに学ぶ、エリア集中と二段階解錠によるチェックイン設計|福岡・天神2.5km圏の運営戦略
民泊運営では、チェックインや鍵の受け渡しをオンライン化しても、清掃品質の確認やトラブル時の現地対応など、人の手が必要になる場面があります。
そのため、単に業務を仕組み化するだけでなく、どの業務を遠隔で行い、どの場面で現地対応するのかをあらかじめ設計しておくことが重要です。
福岡市中心部で民泊施設「IONSTAY」を展開する株式会社岩久興産では、物件を天神から半径2.5km圏内に集約し、清掃体制やチェックイン導線と組み合わせることで、現場の状況を把握しやすい運営体制を整えています。

本記事では、IONSTAYの事例をもとに、エリア集中、自社運営、清掃品質の管理、二段階解錠によるチェックイン設計について紹介します。
まずは、この記事でわかる内容を簡単にまとめます。
この記事でわかること
- 天神から半径2.5km圏内に物件を集約する理由
- 自社運営と清掃体制を組み合わせた品質管理の考え方
- 二段階解錠によるチェックイン導線と鍵管理の仕組み
※ 本記事は一般的な運営課題の整理を目的としており、特定の製品や運営方法を保証・推奨するものではありません。
※ 本記事は2026年1月の取材時点の内容に基づいています。
戦略的なエリア集中|福岡・天神2.5km圏内に集約する理由
IONSTAYの大きな特徴は、物件を福岡市中心部の天神から半径2.5km圏内に集約している点です。
現在は、
- IONSTAY 天神
- IONSTAY 博多
- IONSTAY 天神南
の3拠点を運営しています。
あえてエリアを広げないこの戦略は、単なる運営効率だけではありません。
距離を絞ることで、
- 清掃後の状態を自社で確認できる
- トラブル時に現地対応が可能
- 現場の状況を把握しやすい
という体制を維持できます。
IONSTAYの運営では、距離そのものが品質管理の仕組みになっているのです。

外部委託から自社運営へ|現場を把握する運営体制
IONSTAYの立ち上げ当初、岩久興産では民泊運営を外部の管理会社に委託していた時期もありました。
しかし実際の運営を通じて、
- ゲスト対応の品質
- トラブル時のレスポンス速度
に課題を感じる場面があったといいます。
そこで現在は、全拠点を自社運営へと切り替えました。
運営を任せきりにするのではなく、自分たちで現場の状況を把握できる体制を整えたのです。
その姿勢を象徴しているのが、清掃や室内サービスへの向き合い方です。
清掃体制の見直し|品質責任を自社で持つ運営
IONSTAYでは現在、清掃作業そのものは専門の清掃業者に委託しています。
一方で、清掃中や清掃後の状態は、必ず社内スタッフが確認します。
チェックリストに基づき、必要があればその場でフォローも行います。
清掃を完全に任せるのではなく、最終的な品質責任は自社で持つという考え方です。
また取材時点では、2026年7月から清掃業務を完全内製化する計画で、アルバイトスタッフの採用やリネン管理方法の検討を進めていました。
天神から半径2.5km圏内に物件を集約しているのも、清掃後の状態を自分たちの目で確認できる距離を保つためです。
エリア集中と清掃体制は、切り離せない関係にあります。
入館と入室を分ける「二段階解錠」|チェックイン導線の設計
運営体制を自社で構築する中で、次に課題となったのが鍵の設計でした。
IONSTAYの物件は、中古物件を取得し民泊向けに改修したものです。
そのため、最初からチェックイン導線やセキュリティが整っていたわけではありません。
そこで採用されたのが、二段階解錠の仕組みです。
IONSTAYでは、建物の玄関と宿泊スペースの内扉、それぞれにスマートロックLINKEY Plusを設置しています。
チェックインの流れは次の通りです。
- 玄関:事前に案内された暗証番号で解錠
- 内扉:タブレットによるデジタルチェックイン手続き後に暗証番号を発行
本人確認が完了しない限り、宿泊スペースへは入れない仕組みです。
この仕組みによって、セキュリティとスムーズなチェックインを両立しています。
また、清掃スタッフには共通の暗証番号を付与し、清掃時間帯を限定することで運用上の安全性も確保しています。
今まで鍵の操作方法に関する大きなトラブルは起きていません。

あえてオートロックを使わない理由|家族利用を想定した判断
IONSTAYでは、LINKEY Plusのオートロック機能をあえて使用していません。
理由はシンプルで、家族利用が多く、子どもが誤って締め出されるリスクを避けるためです。
一般的には便利とされるオートロックですが、利便性よりも物理的な安心感を優先しました。
機能の多さではなく、ゲストの行動を想定して運用を決める。
IONSTAYの運営では、この考え方が一貫しています。
仕組みと「人の目」で支える運営|日本のリアルな暮らしを大切にした空間設計
IONSTAYでは、すべてを仕組みやシステムに委ねる運営はしていません。
過去には、チェックイン時に通信環境が不安定になり、現地対応が必要になったこともありました。
そうした経験を通じて、要所では人の目で状況を確認できる体制が欠かせないと考えるようになったといいます。
現在はオンラインで状況を把握しながら、必要に応じてスタッフが対応できる体制を整えています。
仕組み化された運営であっても、「人の気配」が感じられる運営を大切にしています。
この姿勢の背景にあるのが、「日本のリアルな暮らし」を大切にするという考え方です。
IONSTAYが目指しているのは、特別な非日常体験を演出する宿ではありません。
「日本で実際に暮らすとしたら、こんな空間かもしれない」
そう感じられる、住まいの延長のようなプライベートな滞在空間です。
家族やグループでの利用を前提に、無理なく、安心して過ごせること。
家具や備品も、自分が泊まるなら何があれば心地よいかという視点で選ばれています。
こうした価値観は、運営の仕組みづくりにも一貫して反映されています。

IONSTAYの施設づくりに込めた考えを知る
本記事では、エリア戦略や清掃体制、チェックイン導線など、IONSTAYの運営設計を中心に紹介しました。
施設づくりの背景や「日本のリアルな暮らし」を届けたいという考えについては、インタビュー記事で詳しく紹介しています。
▶ IONSTAYの施設づくりと運営への考えをインタビューで読む
まとめ|IONSTAYに学ぶ民泊運営の設計
IONSTAYでは、次のような仕組みを個別に導入するのではなく、互いに関連づけて運用しています。
- 物件を天神から半径2.5km圏内に集約する
- 清掃品質を自社で確認できる体制をつくる
- 建物の玄関と宿泊スペースを二段階で解錠する
- 必要なときはスタッフが現地対応できる距離を保つ
この事例から見えてくるのは、民泊運営の仕組み化とは、すべてをシステムに任せることではないという点です。
遠隔で対応する業務と、人が確認する業務を分け、それぞれが機能する範囲を設計することが、安定した運営につながります。
適した方法は施設の立地や物件構造、運営体制によって異なりますが、IONSTAYの取り組みは、自施設の運営範囲や現地対応のあり方を考える際の一つの参考になるでしょう。
自施設のチェックイン設計を考える際は
IONSTAYのような運営設計が適しているかどうかは、物件の立地やドアの構造、清掃・現地対応の体制によって異なります。
まずは、スマートロックで対応できることと、運用側で準備しておくことを整理しておくと、導入後の流れを具体的に検討しやすくなります。
二段階解錠が可能か、設置できるドアか、現在の運用に無理なく組み込めるかを確認したい場合は、施設の条件をもとに個別にご案内しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 民泊物件を一定のエリアに集約するメリットは何ですか?
物件間の移動距離を抑えることで、清掃後の確認や備品補充、トラブル発生時の現地対応を行いやすくなります。
IONSTAYでは、物件を福岡・天神から半径2.5km圏内に集約し、必要に応じて社内スタッフが現地へ向かえる体制を維持しています。
ただし、適切な範囲はスタッフ数や交通手段、道路状況によって異なるため、2.5kmという距離がすべての施設に適しているわけではありません。
Q2. 清掃を外部委託しても、品質を自社で管理できますか?
清掃作業を委託する場合でも、チェック項目や完了報告の方法、最終確認を行う担当者を決めることで、自社が品質管理に関与できます。
取材時点のIONSTAYでは、専門業者が清掃を行い、社内スタッフがチェックリストに基づいて清掃中や清掃後の状態を確認していました。
委託する業務と自社で確認する業務を明確に分けることが、品質を維持するうえで重要です。
Q3. 二段階解錠とは、どのようなチェックイン方法ですか?
二段階解錠とは、建物への入館と宿泊スペースへの入室で、別々の解錠手続きを設ける方法です。
IONSTAYでは、建物の玄関を事前に案内した暗証番号で解錠し、タブレットでデジタルチェックインと本人確認を完了した後に、内扉の暗証番号が発行されます。
建物に入るための導線と、宿泊スペースに入るための導線を分けることで、本人確認前の入室を防ぐ設計です。
Q4. 民泊ではオートロックを使用した方がよいのでしょうか?
オートロックが適しているかどうかは、施設の構造やゲストの利用状況によって異なります。
IONSTAYでは家族利用が多いため、子どもが先に外へ出た際などに締め出されるリスクを考慮し、オートロック機能を使用していません。
一般的に便利な機能であっても、ゲストの行動や起こり得るトラブルを想定して、使用するかどうかを判断することが大切です。
ほかの施設の運営事例も見る
施設の立地や規模、スタッフ体制によって、適した運営方法は異なります。
ほかの宿泊施設が、チェックインや鍵管理、現地対応をどのように設計しているのかも紹介しています。
