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賃貸物件で民泊は始められる?契約前に確認したい貸主の承諾と管理規約
物件を購入せず、賃貸で民泊を始めたい方や、すでに借りている部屋を民泊に使いたい方もいるでしょう。
賃貸物件でも民泊を始められる場合はあります。
ただし、貸主の承諾が得られたからといって、そのまま営業できるわけではありません。
賃貸借契約や建物の管理規約に加え、利用する制度の要件や自治体のルールも確かめる必要があります。
この記事では、賃貸物件を民泊に使うために、契約前に調べることと相談先を整理します。
住宅要件や営業日数、管理委託については、主に住宅宿泊事業法を利用する場合を説明します。
この記事でわかること
- 民泊利用について、賃貸借契約と管理規約で確かめること
- 契約前に自治体・消防署へ相談する内容
- 費用と運営方法を整理し、貸主の承諾を書面に残す進め方
※本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。一般的な情報提供を目的としており、法令や手続きの正確性を保証するものではありません。制度運用は自治体ごとに変更される可能性があるため、最新情報は観光庁や物件所在地の自治体・関係機関の公式サイトをご確認ください。
1|賃貸物件でも民泊は始められる?契約前に確認したい3つのこと
賃貸物件で民泊を始める場合は、次の3点をそれぞれ確かめる必要があります。
| 確認すること | 確かめる内容 |
|---|---|
| 賃貸借契約・貸主の承諾 | 借りた物件を民泊として使うことが認められるか |
| 建物の規約 | 管理規約や使用細則で、宿泊利用や共用部の使い方が制限されていないか |
| 法令・自治体のルール | 想定する営業方法で、その物件を使えるか |
物件情報に「民泊可」と書かれていても、貸主が認める利用方法や、行政手続きの確認状況までは分かりません。
どの制度による営業を想定した記載なのかも、不動産会社へ尋ねておきます。
貸主への相談と行政への相談は並行して進めます。
2|賃貸借契約と管理規約で、民泊利用が認められるかを調べる
契約書の使用目的・転貸・禁止事項を読む
賃貸借契約書では、物件の使用目的、転貸に関する条項、禁止事項を読みます。
転貸とは、借りた物件をさらに第三者へ貸すことです。
契約書に民泊禁止の記載がないことだけでは、民泊利用を認められたとは判断できません。
居住用として借りる契約や、第三者への利用に制限がある契約では、想定する宿泊事業について貸主と合意する必要があります。
貸主に、民泊として使いたい意向を伝える
仲介会社や管理会社には、物件探しの段階から民泊に使いたいことを伝えます。
貸主へ意向を確認してもらい、民泊利用を前提に契約内容を検討できるかを尋ねましょう。
管理会社から了承の説明を受けた場合も、貸主の承諾が含まれているか、どの書面で確認できるかを確かめます。
分譲マンションの一室では、管理規約と使用細則も読む
分譲マンションの一室を借りる場合は、貸主の承諾とは別に、管理組合が定める管理規約と使用細則を読みます。
貸主が認めていても、管理規約で住宅宿泊事業が禁止されていれば、その規約に反して始めることはできません。
住宅宿泊事業法による届出では、区分所有の建物について規約の写しが必要です。
規約に住宅宿泊事業の定めがない場合も、総会や理事会で禁止する方針が決議されていないことを確認する誓約書や議事録などが求められます。
記載がないから自由に営業できる、と判断しないことが大切です。
すでに借りている物件でも、予約の募集や設備購入を始める前に、契約内容と建物の規約を確かめてください。
3|自治体と消防署に、営業方法と必要な設備を相談する
住所と図面を用意し、想定する宿泊事業を行えるか、物件所在地の行政窓口へ相談します。
住宅宿泊事業・旅館業・特区民泊のどれで営業するかを相談する
民泊として宿泊サービスを提供する方法には、住宅宿泊事業法に基づく届出、旅館業法に基づく許可、特区民泊の認定があります。
営業できる地域や建物に求められる要件、開業に必要な手続きは、利用する制度によって異なります。
自治体の民泊担当窓口や保健所などに、住所、建物の種類、宿泊人数、事業者が現地に住むかを伝え、検討している物件でどの制度を利用できるかを尋ねます。
開業準備全体の流れは、以下の記事で紹介しています。
▶ 民泊の始め方|開業までの流れ・費用・運営準備を6ステップで解説
住宅宿泊事業では、設備要件と居住要件を満たすかを調べる
住宅宿泊事業法では、届出する物件に台所・浴室・便所・洗面設備が必要です。
さらに、次のいずれかの居住要件を満たす必要があります。
- 現に生活の本拠として使われている家屋
- 住宅宿泊事業を行っている間も、居住用として入居者を募集している家屋
- 所有者や賃借人などが随時居住に使っている家屋
部屋を借りて設備をそろえるだけで、住宅の要件を満たすとは限りません。
物件の利用実態がどの区分に当てはまるかを窓口へ相談します。
入居者を迎える意図のない形式的な募集では、入居者募集の区分には該当しません。
営業できる地域・期間と、必要な消防設備を調べる
住宅宿泊事業法では、届出住宅ごとに宿泊日数を算定します。
上限は、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの1年間で180日です。
自治体の条例によって、実施できる区域や期間がさらに制限される場合もあります。
消防署には、図面や想定する運営方法を示し、必要な消防設備と手続きを相談します。
建築上の用途や改修については、自治体の建築担当窓口などへの確認も必要です。
必要な工事が分かれば、施工会社から見積もりを取り、貸主への説明に使えます。
4|費用と運営方法を整理し、貸主の承諾を書面に残す
家賃・清掃費・管理委託費を見積もる
家賃や共益費は、宿泊予約がない月にも発生します。
一方、清掃費や予約サイトの手数料などは、清掃回数や売上によって変わります。
管理委託費も、固定額か売上に応じた料金かを見積書で確かめます。
住宅宿泊事業法を利用する場合は、年間180日以内という上限に加え、自治体の営業期間の制限を踏まえて売上を考えます。
営業できる日すべてに予約が入る想定だけでなく、予約が少ない場合にも家賃などを払えるかを試算しておきましょう。
必要な工事と、退去時の原状回復を話し合う
消防設備やスマートロックの設置、ドア・錠前の交換などは、工事内容を貸主へ伝えて承諾を得ます。
共用部に関わる工事は、管理組合などにも確かめます。
取り付けの可否に加え、費用を誰が負担するか、退去時に設備を撤去するか、元の錠前へ戻すかも書面に残します。
「後付けできる製品」というだけで、貸主の承諾や原状回復の確認が不要になるわけではありません。
宿泊人数や管理方法を伝え、承諾を書面で確認する
貸主には、営業方法、宿泊人数、清掃・苦情対応の担当者、必要な工事を伝えます。
住宅宿泊事業法の届出では、賃借人は貸主の承諾を証する書面が必要です。
書面には、住宅宿泊事業のための転貸を貸主が認めることを明記します。
賃貸借契約書にその旨が明記されていれば、その契約書が承諾を証する書面となります。
明記されていない場合は、別途承諾書などを用意します。
借主からさらに物件を借りる転借人の場合は、貸主と転貸人の両方の承諾が必要です。
この承諾書面には、国が定めた必須の書式はありませんが、記載内容や提出書類は届出先へ確かめてください。
貸主との合意と、行政への届出・許可などの手続きは別なので、書面で承諾を得たことだけで営業を始めないようにします。
5|清掃・緊急対応・鍵の受け渡しを誰が担うか決める
清掃・苦情対応・鍵の受け渡しについては、貸主へ説明する段階で担当者や依頼先を具体的にしておきます。
遠隔運営を予定する場合は、次の点を検討してください。
住宅宿泊管理業者への委託が必要かを確かめる
住宅宿泊事業法では、届出住宅の居室数が5を超える場合や、ゲストの宿泊中に住宅宿泊事業者が不在となる場合は、原則として登録された住宅宿泊管理業者への委託が必要です。
買い物など日常生活に伴う一時的な不在には例外があります。
ただし、仕事などで継続的に長時間不在にする場合は、この例外に該当しません。
自宅が近くにある場合の例外にも要件があるため、距離だけで委託の要否を判断しないようにします。
通常の賃貸管理会社や清掃会社に依頼することと、法律上必要な住宅宿泊管理業務を委託することは同じではありません。
委託義務がある場合は、法定の管理業務を一つの住宅宿泊管理業者へまとめて委託する必要があります。
自分の運営方法で委託が必要かを、自治体の窓口へ確かめます。
清掃と近隣からの連絡に対応する担当者を決める
清掃を頼める人がいても、設備の故障や夜間の苦情に対応できるとは限りません。
清掃担当者、ゲストの問い合わせ窓口、緊急時に現地へ行く担当者をそれぞれ決めます。
同じ人や会社に任せる場合も、業務範囲を明確にします。
現地担当者への引き継ぎ方法と、不在時の代替連絡先も決めます。
貸主や建物の管理会社がゲスト対応まで担う前提にしないことが大切です。
共用玄関から客室までの解錠方法を整える
客室の鍵だけでなく、建物の共用玄関をゲストがどう開けるかも調べます。
客室にスマートロックを付けても、それだけで共用玄関のオートロックを解錠できるとは限りません。
物理鍵の受け渡し、キーボックス、暗証番号式のスマートロックなどを比較し、建物のルールと運営方法に合う手段を選びます。
清掃スタッフの解錠方法や、鍵が使えないときに現地へ行く担当者まで決めておきましょう。
まとめ|契約前に、民泊利用の承諾と営業できる物件かを確かめる
契約前の相談には、次の書類や情報を用意します。
| 確認すること | 相談先 | 用意する書類・情報 |
|---|---|---|
| 民泊利用の可否と契約内容 | 貸主、仲介会社・管理会社 | 契約書案、予定する営業方法 |
| 建物の規約と共用部の利用 | 貸主、管理組合・建物の管理会社 | 管理規約、使用細則 |
| 利用する制度と営業できる地域・期間 | 自治体の民泊担当窓口、保健所など | 住所、図面、宿泊人数、居住予定 |
| 消防設備・建築上の確認 | 消防署、自治体の建築担当窓口など | 図面、運営方法、改修予定 |
| 工事と原状回復 | 貸主、施工会社など | 工事内容、見積書、撤去・復旧方法 |
| 管理委託と現地対応 | 住宅宿泊管理業者、清掃会社など | 業務範囲、連絡体制、見積書 |
契約書案や管理規約を取り寄せ、住所と図面を持って行政窓口へ相談しましょう。
費用と運営体制も整理し、貸主との合意を書面に残します。
賃貸物件での民泊についてよくある質問(FAQ)
Q1.今住んでいる賃貸住宅の一部だけを民泊に使うことはできますか?
貸主の承諾や制度の要件を満たせば、住宅の一部を民泊に使える場合があります。
自分の生活空間とゲストが使う範囲を図面で示し、自治体へ相談してください。
住宅宿泊事業法では、建物の一部分だけを届け出る場合、その部分が住宅の要件を満たす必要があります。
Q2.すでに民泊として使われていた部屋を借りれば、そのまま営業できますか?
以前の営業実績だけで、そのまま営業できるとは判断できません。
住宅宿泊事業法では、事業者が変わる場合、原則として旧事業者の廃業届と新事業者の新規届出が必要です。
他の制度では必要な手続きが異なるため、前の事業者が使っていた制度と、自分に必要な手続きを自治体へ確かめてください。
貸主との契約内容も改めて整理します。
Q3.賃貸住宅の火災保険は、民泊に使う場合も補償されますか?
現在の保険が民泊利用にも対応するかは、契約内容を確認しなければ判断できません。
保険会社や代理店へ民泊として使うことを伝え、現在の契約で補償されるか、契約変更や追加の保険が必要かを確かめてください。
借りた部屋や家財の損害、貸主への賠償、ゲストのけがに対する賠償など、必要な補償を分けて尋ねます。
これらが一つの火災保険ですべて補償されるとは限りません。
物件選びと運営準備を、もう少し具体的に考えたい方へ
営業できる物件でも、宿泊需要や必要な工事費によっては、事業として続けにくい場合があります。
立地や初期投資の見方を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 民泊に向かない物件とは?運営のプロが開業前に見る判断ポイント
民泊開業を検討している方へ
開業後の運営も含めて準備を考えたい方に向けて、ホワイトペーパーをご用意しています。
物件の確認と合わせて、運営方法を検討する際にご活用ください。
鍵の受け渡し方法を検討する際は、LINKEYの導入相談もご利用いただけます。
工事が認められる範囲や、ドア・錠前の情報をお知らせください。

